表面でインクをぐるぐるされる Stanford Bunny

曲面上の流体計算とpassive dye advection。出典: R. Roy-Chowdhury et al., “Vakonomic Fluids”, Figure 26, arXiv:2607.18312.

論文ページでFigureを確認

今回のStanford bunny

Stanford bunnyは、3次元空間の中ではなく、曲面そのものの上で流体を動かす評価に使われています。約85.7k verticesの表面上に速度場を定義し、passive dyeを流して挙動を可視化します。

Figure 26では、耳や胴体のような複雑な曲率を持つ表面に沿って模様が移流します。平面や球面より入り組んだ形状でも、流れと染料の混合を安定して計算できるかを示しています。

今回は壊されたり削られたりせず、表面だけをインクがぐるぐる流れていきます。

今回の扱い:曲面上に流体場を置かれ、passive dyeを移流される
状態:無傷

論文の内容

非圧縮流体を離散化する

本研究は、非圧縮Euler方程式の構造を保ちながら、コンピュータで計算できる形へ離散化する方法を提案します。対象には平面・曲面上の流れに加え、3次元空間の流れも含まれます。

連続的な流体運動を有限次元の行列で表すと、許される速度に非ホロノミックな制約が生じます。この離散化に由来する制約を変分原理の中でどう扱うかが中心課題です。

Vakonomic formulation

提案法は、従来よく使われるLagrange–d’Alembert原理に代えて、許容される軌道の変分にも制約を課すvakonomic原理を用います。

これにより、離散的な流体運動を幾何学的に整合したLie–Poisson系として導き、異なる次元や形状の流れへ適用します。

保存則と計算効率

離散化後もCasimir不変量やKelvinの循環定理に対応する構造を保つことを重視します。さらにlow-rank Clebsch変数による表現を使い、構造を維持しながら計算量を抑えます。

数値実験では保存量の挙動、渦の運動、3次元の渦輪、曲面上の流れなどを確認し、長時間の計算での安定性や物理的な振る舞いを比較しています。

曲面流体での可視化

曲面上の実験では、接平面へ投影した初期速度場から流れを計算します。passive dyeは速度場に従って移動し、流れの混合を可視化します。

この曲面上の実験は、提案する一般的な離散化を複雑な形状へ適用できるかを示す評価の一つです。

論文情報

Vakonomic Fluids

  • arXiv: https://arxiv.org/abs/2607.18312
  • v2: 2026年7月31日
  • 分野: Geometric Fluid Dynamics / Structure-Preserving Simulation
  • 使用モデル: Stanford bunny
  • 使用箇所: Figure 26
  • surface vertices: 約85.7k
  • 用途: 曲面上のvelocity fieldとpassive dye advectionの評価・可視化